東北キリシタン殉教地とその歴史から学んできました(バス巡礼遠足)

 11月30日(土)に『バス巡礼遠足』が実施され、学生と教職員が参加しました。

 川上直哉先生(カトリック研究所客員所員・東北キリシタン研究会員、石巻栄光教会牧師)のガイドにより、今回のために作成して下さった詳細な資料とともに、震災以後の石巻の話を伺いながら、10月にリニューアル・オープンした「サン・ファン館 宮城県慶長使節船ミュージアム」へ向かいました。

 慶長大津波(1611年)の数年後に、スペイン、ローマ(バチカン)へと石巻を旅立ち出航した慶長使節団は、災害復興のさらにその先を見すえて旅立った……と想像し思い巡らしながら館内を回りました。

 リニューアルされた館内スペースの大きなテーブルを囲み、参加者全員でそれぞれ用意した昼食を和やかに頂きました。

 午後は「大籠キリシタン殉教公園・資料館」へ。

 サン・ファン館での見聞や川上先生の車中での解説により、この場所で過去に起きた悲惨な出来事の中で、人々がどう生きたか、想像しながら東北キリシタンの史跡をめぐりました。

 たとえば、迫害を受けたキリシタンたちの絶望的状況の一方で、それを見ぬふりできずかくまった人々やお寺があったと後に明らかになった事実。参加者が観たものは、400年前の、今生にとどまらず希望をもって生き抜いた東北キリシタンたちの姿と、そうした出来事にあたって人としての輝きをもった東北の人々の姿でした。

 仙台に戻った学生たちは皆、「人間についての学び」を深めることができたと思います。 

 下記に、その感想の一部を引用させていただきます。          

 今回のバス巡礼遠足では、東北の歴史に残るキリスト教について学ぶことが出来ました。
 大籠のキリシタン遺跡群では、たくさんの人が処刑されたところにも訪れました。この場所でたくさんの人が処刑されたと考えると、胸が締め付けられるような思いがありました。大籠には沢山の史跡や、遺跡が残されていました。それはキリスト教の歴史を継承して行くために、遺跡や公園、資料館が作られたんだと感じました。
 サン・ファン館では、支倉常長らの慶長遺欧使節の挑戦と歴史、また帆船についても知ることができました。帆船の建造工程や、船内の生活などがイラストでとても分かりやすく学ぶことが出来ました。
 実際に歴史あるところに訪れることで、普段感じない雰囲気、感情を感じることが出来ました。また、バス車内でもたくさんの東北キリシタンの歴史についての話を聞くことができ、貴重な経験となりました。(S・Sさん)
 今回バスツアーに参加して、東北地方でのキリスト教の歴史や、キリスト教が東北の人々に与えた影響について学びました。
特に印象に残ったのは、大籠キリシタン殉教公園です。
 過酷な迫害を受けながらも、自らの命をかけてまで信仰を守り抜いた姿に、当時の人々の深い信仰心を感じ、心を打たれました。
また、サン・ファン館慶長使節船ミュージアムでは、高校の授業で少し学んでいた岩倉常長の生涯や慶長遣欧使節について、さらに詳しく学ぶことができました。
 外に展示されていたサンファン号の復元船は1/4のサイズでしたが、それでも近くで見るとその迫力に圧倒されました。
今回のバスツアーでは、現地に足を運んで五感で学ぶことで、座学だけでは感じられなかった当時の雰囲気や時代の重みを直接体験でき、非常に貴重な経験となりました。(S・Hさん)

  このバス巡礼遠足はカトリック研究所・前所長の加藤美紀学長のイニシアティヴで始まりました。新型コロナ禍で中断していたのですが、宗教委員会との共催でひさびさに再開したものでした。

 今後も学生たちを中心に(卒業生OGを含めて)、東北唯一のカトリック4年制大学である本学の特色を生かしたスタディ・ツアーの一つとして、毎年継続していきたいと思います。

 なお、カトリック研究所編『東北キリシタン探訪』(教友社、2024年3月)のご一読をお勧め致します。