女子雑誌

 1885(明治18)年7月~1904(明治37)年2月にわたって発行された、女性向けの雑誌。

 第1号の発行の主旨に「国内婦人の地位如何を見れば以て其国文明の高下をさとるべしと云へり...欧米の女権と我国従来の女徳とを合わせて完全の模範を作り為さん...」とある。これは、近世において『女大学』などに示された「劣った性」という呪縛から女性を解き放ち、女性・男性ともに啓蒙を図るための「婦女改良」にのっとった考え方で、日本の女性が女権と女徳を合わせ待ち、幸せになるためにこの雑誌で応援していこうというものであった。女性の経済的自立の必要性を訴え、今日の女性の生活に影響を与えるきっかけとなった雑誌である。

 また、この雑誌においてバーネットの『Little Lord Funtleroy(リトル・ロード・フォントルロイ)』をわかり易く澄み切った口語訳で翻訳連載した若松賤子のような女性も出てきた。『小公子』としていまだに読み継がれているこの小説は、広く読者を集めたばかりでなく、森田思軒、石橋忍月、坪内逍遙等多くの文学者からも賞賛された。

築地劇場

 雑誌『築地小劇場』は1924(大正13)年6月に旗挙げ公演の幕を掦げた築地小劇場の機関紙として創刊された。 築地小劇場は、演劇研究のためにヨーロッパへ滞在していた土方与志が、関東大震災のあと仮建築の劇場 建設が許されるという報を受け、急遽帰国して師である小山内薫を擁し、私財をなげうって創設した劇団である。
 日本では維新までは、大まかに言って歌舞伎、そして能・狂言といった演劇しかなく、せりふによって人間を描く言語芸術作品としての戯曲を土台にして、その戯曲世界全体の表現を志向する舞台芸術、つまり「近代劇」は存在しなかった。歌舞伎などの旧劇や書生芝居からの流れの新派に対して、ヨーロッパ流の近代的な演劇を目指したこの演劇は新劇と呼ばれた。明治末期に坪内逍遥・島村枹月らの文芸協会や、小山内薫・市川左團次の自由劇場の活動が築地小劇場という場所を得て、新劇運動が確立したといっても過言ではないだろう。

 雑誌『築地小劇場』全63冊、プログラム75部、ポスター4点を復刻したこの資料は、日本の近代劇の成立や変遷を知る資料として、貴重な資料である。

婦人世界マイクロフィルム

 婦人向けの総合雑誌として1906(明治39)年1月に創刊された1933(昭和8)年5月の28巻5号まで続いた。日露戦争終結の翌年に創刊されたこの雑誌は、世界競争の場に進出した日本において、その家庭、国家、社会に対する責任を自覚する婦人であり、日露戦争後の日本にふさわしい理想の婦人をつくることを目指していた。家庭にあってさまざまな家庭の仕事を合理的にこなし、余力があれば適宜社会活動をするが、基本的に家庭の活動に"婦人世界"はあるとの認識で、具体的な家庭運用の実技に重点が置かれていた。若くしてアメリカに渡り、帰国後、報知新聞の客員となり、『食道楽』などの作品で作家としても有名な村井弦斎が編集顧問となりその巧みな編集と実際的な生活知識の提供や、返品自由の委託販売制を取ったことなどにより、『婦人世界』は出版後まもなくそれまでの代表的婦人雑誌『女学世界』を抜いて、婦人雑誌といえば『婦人世界』と同義語と思えるほどの全盛時代を築いた。

それまでの雑誌が文学的教養的色彩を帯びていたのに対して、日常生活の実用記事を多量に入れたことは、その後の婦人雑誌に大きな影響を与え、婦人雑誌の型を変えさせ、日本的な婦人雑誌を生む契機をつくった点、大変興味深い資料である。

石ノ森章太郎萬画大全集

 3階の就職関係図書や新入図書の棚の一角に、漫画家石ノ森章太郎の膨大な作品を全部網羅した『石ノ森章太郎萬画大全集』のコーナーがある。石ノ森章太郎は、本名を小野寺章太郎といい1938年1月25日、登米市中田町石森(いしのもり)に生まれた地元宮城県出身で、「サイボーグ009」「ジュン」「マンガ日本経済入門」など漫画賞に輝いた多数の作品や「仮面ライダー」や「がんばれロボコン」等がテレビ化して大ヒットした著名な漫画家。
 1989年、漫画には「面白い、おかしい」だけではない多数の表現が可能になったとして、漫画の新しい呼び名「萬画(マンガ)」を提唱し「萬画宣言」を発表し、以降は自らの職業を「漫画家」ではなく「萬画家」と称した。

 全500冊770タイトルで、2008年1月24日にギネス・ワールズレコーズから「1人の著者によって出版された最多コミックの記録」として世界記録の認定を受けた。

手塚治虫文庫全集

 1977年から1997年まで、20年間にわたり刊行された、講談社版「手塚治虫漫画全集」全400巻をリニューアル、文庫サイズで全200巻に再編集。手塚プロダクションの全面協力を得て、『ブラック・ジャック』『三つ目がとおる』『ミッドナイト』の全集未収録部分や、全集完結後に刊行された『ピノキオ』『バンビ』などを新たに加えた21世紀の手塚全集。手塚治虫が自作を語った全集版の後書きをタイトルごとに再収録。さらに、最新史料に基づく作品データ、漫画の神様"手塚治虫"のエピソードを紹介する書き下ろし解説が加えられている。

 多彩なテーマに挑戦し続けた巨匠の力作に対し、最新のデジタル技術を駆使して、オリジナル原画の味わい深いタッチを再現している。 全200巻を第1期から第4期に分けて、2009年10月から刊行を開始、現在刊行中で、約3年で全巻完結の予定。 3階入口奥の『石ノ森章太郎萬画大全集』コーナーの脇に置いてある。

厚生統計協会資料

 2階絵本コーナーの向かい、教科書コーナーの隣に厚生統計協会発行の資料『厚生の指標』『人口動態調査』『国民衛生の動向』『国民生活基礎調査』『介護サービス施設・事業所調査』等の統計資料のコーナーが設けてある。