公開講座・研究会
カトリック研究所主催講演会
(大学広報室・図書地域貢献研究センター協力)
2022年11月19日(土)
加藤一二三氏(本学客員教授・文化功労者) 特別講演会「幸福の一手」
2022年度の文化功労者に顕彰された直後のこのオンライン講演会では、平安時代から継承される将棋が日本の大切な伝統文化であり、勝敗を超えた芸術でもあることから、より多くの皆様に将棋の魅力を伝えて、将棋文化に親しんでいただけるよう尽くしていきたいと、ファンや関係者の皆様への感謝の気持ちとともに、将棋愛や63年近く現役でいられた秘訣などを元気いっぱい語ってくださいました。
2022年7月16日(土)
西平直氏(京都大学名誉教授・上智大学グリーフケア研究所特任教授)「なぜ神は助けないのか」
リスボン大震災に始まる西欧社会に生じた疑念から、関東大震災に際しての受けとめに至るまで、哲学的議論、社会的言説、庶民の感覚など、多岐にわたる内容を非常にわかりやすく整理してご講演くださり、全国より数多くのご質問を頂戴しての白熱議論となりました。
2022年5月28日(土)
前田信彦氏(立命館大学教授)「若者のキャリア形成と大学教育」
欧米のジョブ型雇用とは異なる日本のメンバーシップ型雇用のシステムに基づいた企業倫理が、学校教育にも浸透しつつあるのではないか。こうした問題提起のもと、同調圧力の高い同質的な社会に就職する若者が、どうすれば個人の自律性を保ち、異質な他者を排除せずに多様な個性と共生しながら働けるのか、前田先生がこれまでに提案してこられた新しいライフキャリア教育を背景に、学生たちとのブレークアウトセッションによる対話も交えて充実した研究会となりました。
2022年1月29日(土)
加藤美紀氏(カトリック研究所所長)「カミュ『ペスト』を読む―不条理を生き抜く―」
コロナ禍で世界的ベストセラーを記録したカミユの『ペスト』を取り上げ、不条理と闘う人間の群像劇を解説しながら、同時期に発表されたフランクルの『夜と霧』との対比も織り交ぜて講話することにより、不条理体験から人はどう立ち上がれるのかをオンラインで視聴してくださる皆様と共に考える時間となりました。
2021年11月27日(土)
加藤一二三氏(本学客員教授) 特別講演会「だから私は、神を信じる」
カトリックの洗礼を受けて50周年記念の2020年に日本キリスト教団出版局から発行した同名の本をもとに、将棋のスランプを脱するために信仰の道に入った一二三先生が、勝負の世界や人生の挫折において経験した神様の不思議なはからいについて、魅力的なエピソードを交えてオンラインの画面越しに熱を込めて語られ、視聴者の皆様からのたくさんの興味深い質問にも一生懸命答えてくださいました。
2021年7月17日(土)
プテンカラム・ジョンジョセフ氏(上智大学大学院教授)「途上国の開発と環境:ラウダート・シとSDGsを実例に」
環境問題のキーワードである「持続可能な開発」を軸として、国際目標SDGsとバチカン公文書「ラウダート・シ」をリンクさせながら、人類家族が共に暮らす家である地球が現世代と次世代のニーズを満たしつつ、「普遍性・統合化・変化」を目指して、新しい倫理に基づく新たな社会づくりに向かう決断が私たち皆に求められることを学びました。
2020年1月25日(土)
高橋陽子氏(本研究所所員)、佐藤和賀子氏(本研究所所員)「現代につながる隠れキリシタン」
「隠れキリシタン」といえば長崎を思い浮かべますが、実は東北には、バチカンから列福された53名の殉教者を含めて、かつてキリシタンが数多く存在しました。「東北の隠れキリシタン」については、1月17日放映NHK番組「ものほん ウワサの東北見聞録」でも紹介されるなど、スポットライトが当てられつつありますが、真相は謎に包まれており、未解明の部分も多く、かえって好奇心をかきたてられます。
今回は「長崎を凌いだ仙台藩の切支丹、製鉄を通じ布教」と昭和26年に河北新報で報じられた大籠、馬籠のキリシタンの足跡をたどる高橋先生、「隠れキリシタンの里」米川での布教について、沼倉たまきが創刊した「米川新聞」の記事を分析しながら、当該地に特有の信仰の在り方を考察する佐藤先生のお話に多くのご来場の方々が聞き入っておられました。
2019年9月28日(土)
加藤一二三氏(本学客員教授) 特別講演会「歴代ローマ教皇と私」
聖ピオ10世をはじめ、聖ヨハネ23世、聖パウロ6世、ヨハネ・パウロ1世、聖ヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世、など歴代教皇に加えて、11月下旬に来日される教皇フランシスコの耳寄りなエピソードが次々と飛び出しました。自らの将棋人生、聖地巡礼、バチカンでのコルベ神父様の列聖式参列、猫との交流など個人的体験を織り交ぜながら、ローマ教皇が信者のみならず全世界に与える測り知れない影響力が伝わる白熱講演で、会場の皆様は時に大きくうなずき、時に笑いを誘われ、共感の温かい輪が広がりました。
2019年7月20日(土)
川村信三氏(上智大学文学部教授)「日本キリスト教受容の諸相をふりかえって」
キリシタン史、日欧交渉史をご専門とされる歴史学者として、NHK大河ドラマやスコセッシ監督の映画「沈黙サイレンス」の歴史監修なども手がけておられる川村先生は、2017年の日本・バチカン国交75周年行事シンポジウムにバチカンから招聘され、「なぜ潜伏キリシタンが250年存続できたか」について刺激的な論考を発表されましたが、本講演ではその核心部分を分かち合ってくださいました。250年にも及ぶ禁教下の迫害状況に司祭不在で潜伏し続けたキリシタンが長崎で発見された、いわゆる「東洋の奇跡」は「秘蹟の記憶」によってなしえたことを「こんちりさんのりやく」を主とする歴史資料によって説得的に解き明かされました。
2019年5月18日(土)
平川新氏(宮城学院女子大学学長・東北大学名誉教授)「キリスト教の伝来と戦国日本」
日本近世史研究を牽引してこられた平川新先生は、2019和辻哲郎文科省受賞作品である『戦国日本と大航海時代―秀吉・家康・政宗の外交戦略』(中公新書)のエッセンスをご紹介くださいました。世界史における大航海時代と日本史における戦国時代がいかにクロスしていたかについて、根拠資料に基づきながら、従来の歴史観を塗り替える斬新な解釈を教えてくださり、歴史ファンならずとも興味の尽きない研究会となりました。
2019年1月16日(土)
高橋陽子氏(本研究所所員)、川上直哉氏(本研究所所員)「東北キリシタン研究報告会PartⅡ」
今回は長崎潜伏キリシタンとの違いも視野に入れながら、東北独自の特徴はどのような点にあるのか、キリシタンゆかりのものと推測される高橋家所蔵の貴重な掛図や遺物の展示を交えて、興味の尽きない仮説が提示されました。雪道にもかかわらずたくさんの方に御来学いただき、東北キリシタンに対する皆様の関心の高さが伺われました。
2018年9月29日(土)
加藤一二三氏(本学客員教授) 特別講演会「将棋と信仰」
最速昇段、最多対局数、最長現役年数、最高齢勝利など、史上1位の記録を多数樹立した将棋界のレジェンドの原動力は、カトリックの信仰であったことを元気いっぱい語ってくださり、会場は熱気と笑顔に包まれました。続いてサイン会では新著を含めてそれぞれの書籍に、一人ひとりのお話を伺ってその方に合う内容の揮毫を心を込めて書いてくださり、写真撮影や握手などで幸せの花がたくさん咲きました。
2018年7月14日(土)
田中智志氏(東京大学大学院教授)「教育を支える霊性―アウグスティヌスの〈心の眼〉」
新約聖書をラテン語やギリシャ語で読みこなされる田中先生は、超越への志向性にかかわる難解な概念を吟味されながら、〈よりよく生きようとする〉ことの支援としての教育の礎は、人間に備わったアニマのスピリトゥス(神に向かうベクトル)にあるのだという大変刺激的な理論を展開されました。すなわち、アウグスティヌスのいう〈心の眼〉によって神の像であるイエスを知ることで、アニマのスピリトゥスが活性化し、神の似姿を回復できるという、教育の可能性と人間の希望についての非常に示唆深いメッセージをいただきました。
2018年5月26日(土)
幸田和生氏(東京大司教区司教)「いのちへのまなざし」
カトリック教会のいのちに対する公式見解を表明した重要文書『いのちへのまなざし』について、同文書の改定作業チームの座長として日本カトリック司教団のメッセージをとりまとめられた幸田司教様のお話から、いのちをめぐる問題に傷つき悩む人々と共に歩もうとする教会の真摯な姿勢がひしひしと伝わりました。
2017年11月18日(土)
高橋陽子氏(本研究所所員)、川上直哉氏(本研究所所員)「東北キリシタン研究報告会PartⅠ」
同研究所では高橋研究員と川上研究員を中心として2016年度より「東北キリシタン研究会」を発足し、研究会を重ねてきましたが、今回はその経過報告を兼ねて、東北キリシタン受容史とその研究の意味、旧仙台領にキリスト教がもたらされたルーツ、「隠れキリシタン」の信仰とはどのようなものか、について興味の尽きない課題が提示されました。
2017年9月30日(土)
加藤美紀氏(カトリック研究所所長)「フランクルの『夜と霧』を読む」
加藤先生が博士論文で取り組んだフランクル思想についての解説と、その生涯のエピソードを織り交ぜながら、20世紀最大級のベストセラー書の重要場面を取り上げて、「どんな苦難の中でも、人生はあなたを見捨てない」という希望のメッセージを語り、100人を超える会場は熱気に包まれました。
2017年7月15日(土)
リチャード・ガードナー氏(上智大学名誉教授)
「シャルトル大聖堂のラビリンス:世界に貢献するカトリックの象徴」
世界各地の教会の床に描かれたラビリンスは、「人生の旅路」を象徴するといわれ、その上をたどって歩くことにより瞑想に導かれます。本学発祥の地にあるシャルトル大聖堂のラビリンスの縮小版シートの上を靴をぬいで一歩ずつ歩くラビリンス・ウォーク体験(ファシリテータ:武田光世氏)も交えながら、人生や世界を解釈するための普遍的な象徴性と美術的価値を具えたラビリンスを通して、特定の宗派を超えた宗教性を育む実践が可能であることを学びました。
2017年5月27日(土)
佐竹正延氏(東北大学名誉教授)「生命へのアプローチといのちへのアプローチ」
医学博士号取得後、米国で7年間、京都大学および東北大学にて30年間にわたり生命科学の研究者として「生命」に、大学ご退官後は精神科病院の院長として認知症医療現場で「いのち」にアプローチされたご経験からの大変貴重なお話を賜りました。第Ⅰ部では、科学研究のありようや醍醐味、サイエンティストの心象風景など、世界レベルで先端的研究を牽引された科学者ならではの刺激に満ちたお話、第Ⅱ部では、認知症の症状と転帰について、特にこれまであまり語られることのなかった認知症の経過や進行の結末についても耳寄りなお話をいただき、約130名の参加者が熱心に聴き入りました。
2016年11月19日(土)
牛渡淳氏(本学学長)「教養とは何か」
古代ギリシアの自由教育にルーツをもつ欧米の教養教育の伝統について、中世のリベラル・アーツ教育と大学の誕生で興隆しながら、ルネサンス期の古典による教育を経て、近代のアメリカの大学での教養教育に続く流れをたどりました。ひいては、グローバル化とテクノロジーの文化が進む現代の日本の大学における教養教育の在り方についても考えさせられ、教養がなくても生きていけるが、「よりよく生きる」ためには教養が不可欠である、という結論が納得できる充実した研究会となりました。
2016年9月24日(土)
島薗進氏(上智大学グリーフケア研究所所長・東京大学名誉教授) 「現代人の死生観とスピリチュアリティ」
スピリチュアリティ研究を牽引する島薗先生は、「宗教」と響き合うような日本の三つの物語を取り上げ、それぞれの印象的な場面や鍵となる台詞に焦点を当て、物語が描く現代人の死生観と、「死を超える尊いもの」について説き明かれました。現代人のスピリチュアリティについて多くの示唆を与える講演に、講堂に集まる聴衆からも切実な質問が寄せられるとともに活発な議論が展開し、同テーマが現代人の悩みに応えるものであることがうかがわれました。
2016年5月28日(土)
佐々木裕子氏(白百合女子大学教授)「創立50周年に白百合の源泉をたどる」
宗教学がご専門の佐々木先生は、本学の設立母体であるシャルトル聖パウロ修道会創立の地フランスをはじめ、イタリア、イギリス、フィリピン、香港など世界各国を調査して発掘した、修道会の歴史にまつわる貴重な資料を紹介しながら、白百合の建学の精神を「知性や問いの重視・普遍心・世界レベルでの視野・協同性」の観点から浮き彫りにしてくださいました。創立50周年を迎えた本学が原点に立ち戻って新たな歩みを始めるための希望をいただきました。
2015年11月28日(土)
矢口洋生氏(本学教授)「新たな70年のために―日本の平和とキリスト教―」
戦後70年の節目を迎えた日本は次の70年をどの方向に進もうとしているのか、丸山静雄の「70年戦争」という歴史観をもとに考えました。平和国家を標榜する日本がどのような矛盾を抱えているのか、憲法第9条の解釈、サンフランシスコ平和条約、日米安全保障条約、日米地位協定、集団的自衛権、自衛隊、沖縄問題などを取り上げて検討し、参加者と意見交換しながら議論を深めることができました。
2015年7月18日(土)
シスター渡辺和子氏(ノートルダム清心学園理事長)「現代の忘れもの」
全国に熱心な愛読者とファンをもつ渡辺和子先生ならではの心に染み入る珠玉のお言葉の数々に、講堂を埋め尽くした参加者も大教室でビデオモニターから視聴した本学学生達も大いに満ち足りた2時間でした。「置かれた場所で咲く」ための極意をぬくもり溢れるユーモアたっぷりに伝授していただき、会場は思わず笑顔のこぼれる温かい雰囲気に包まれ、おかげで本当に幸せな時間を過ごすことができました。
2015年5月23日(土)
竹之内裕文氏(静岡大学教授) 「限界づけられた生を受け継ぐ―生きること、出会うこと―」
竹之内先生は、本年1月28日にご逝去されました岩田靖夫先生(本学名誉教授・文化功労者)の最後のお弟子さんです。存在根拠、応答責任、いのち等のキーワードをめぐり、「本当に生きる」と「共に生きる」がどのように交差するのか、参加者がそれぞれの人生の出会いを振り返り、誰の生を受け継ぐのか、限界づけられた生の希望はどこにあるのか、を深く考えさせられた研究会でした。
2015年1月24日(土)
川上直哉氏(日本基督教団牧師、仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク・東北ヘルプ事務局長、本学非常勤講師)「フクシマの痛みの中でー国際被曝者連帯とスピリチュアルケアー」
原発事故による「逃げたいのに逃げられない」惨禍とどう向き合うか、宗教者の役割は何か、超宗派の世界的ネットワークでの活動と祈りの連帯、など盛りだくさんの充実した内容でした。
2014年10月26日(日)
森一弘氏(東京大司教区司教)「絆へのチャレンジ~人と人とがバラバラになっていく社会にあって~」
孤食、孤独死、無縁死など、弧化が進む日本社会の病理の背景を、効率主義、拝金主義が支配的な経済最優先の競争社会という観点から分析されました。森司教様から、‘to do’よりも‘to be’の価値を優先し、出会いに飢え渇く人間の一人ひとりのかけがえのなさに集中した生き方へのチャレンジをいただきました。
2014年7月19日(土)
清水哲郎氏(東京大学大学院特任教授)「最期まで自分らしく生きるために―臨床死生学の核心―」
高齢者が口から食べられなくなった場合、胃ろうを造ったほうがよいのかなど、ケーススタディでケアの目標や医療・介護の意思決定プロセスのガイドラインを考えたり、人生のために生命を支えるという死生観から人生の最終段階のケアのありようを考えたり、死と表裏一体のいのちについて深く学びました。
2014年5月31日(土)
岩田靖夫氏(本学名誉教授・文化功労者)「大災害と人間の生きる意味」
カントとハイデガーの哲学、聖書の思想を手がかりに、大災害に遭遇して人はどう生きるのか、原発をどう考えるか、人間の生の意味とは何か、を本格的に考える2時間半で、社会人の方々や本学学生など、約110名の聴衆は熱心に聴き入りました。
学生のカトリック活動
東北キリシタン巡礼バス遠足
みちのくの山々も秋色に染まりはじめた2019年11月2日(土)、カトリック研究所の企画で有志学生33名を乗せたスクールバスは、東北キリシタンゆかりの地を訪ねる巡礼遠足に向かいました。この日は気持ちの良い大晴天に恵まれ、大籠キリシタン殉教公園からクルス館に続く急勾配の細長い階段をずんずん登りきった先に、素晴らしい一関のパノラマを愛で、石巻のサン・ファン館では太平洋を一望できる牡鹿半島の青い海に心を広げました。遠藤周作氏が随想に訪問の思い出を記しておられる大籠は、江戸初期に300人を超えるキリシタン殉教者を生んだ地です。資料館に保存されている踏み絵やマリア観音、ジオラマや映像資料から、受けとめきれないほど重みのあるメッセージをいただきました。
東北の紅葉も見頃を迎えた2018年11月3日(土)、キリシタン巡礼遠足を実施しました。スクールバスの車窓から美しい秋景色を愛でながら、有志の参加者38名は世界遺産「平泉中尊寺」(岩手県)を訪れ、東日本随一の平安仏教美術の宝庫と称される金色堂や宝物館を鑑賞しました。
続いて、国の天然記念物に指定される名勝「厳美渓」で、栗駒山から一関へ流れるエメラルドグリーンの水流とダイナミックな景観を楽しみながら、お昼ご飯をいただきました。最後は、岩手県福原市水沢に向かい、伊達政宗の家臣クリスチャン武将の「後藤寿庵」ゆかりのキリシタンの里を散策しました。こうして東北の歴史についての学びを深め、国内の動静と国際貿易との兼ね合いで翻弄されていく東北キリシタンの歩みと、受け継がれた信仰に思いを馳せるスタディ・ツアーとなりました。
晩秋の2017年11月25日(土)、東北キリシタン巡礼遠足を実施しました。スクールバスの車窓から名残の紅葉を愛でながら、有志の参加者45名は午前に「東北の島原」とも称される大籠キリシタン殉教公園・資料館(岩手県一関市)を、午後に牡鹿半島と太平洋を一望できる石巻のサン・ファン館(宮城県建長使節船ミュージアム)を見学しました。命を賭して守り抜いたキリシタンの信仰の礎には、「神の愛から引き離すものは何もない」という確信から生まれる永遠のいのちへの希望があったのでしょう。300人以上の信徒が殉教した地を踏みしめ、実物の踏み絵やマリア観音を目にし、ジオラマや紙芝居、映像資料を通して感じ取るものは深く、公に弔うことさえ許されなかった名も知れぬ多くの方々の魂の安息を祈るとともに、現代に生きる私たちへのメッセージをそれぞれに受け取りました。
ボランティア報告
復興コンサートいずみ(泉区保健福祉センター主催)で聖歌隊が歌いました
2014年2月7日(金)イズミティ21にて開催された「復興コンサートいずみ」(泉区保健福祉センター主催)に、本学の聖歌隊(tutti♪)部員とボランティアの学生12名が参加しました。このコンサートは、震災で泉区に移住された方々のために泉区保健福祉センターが企画したものです。仙台フィルの皆様の素晴らしい演奏と人間味溢れる温かなサポートをいただいて、来場された被災者の方々の3年間の御心労が一瞬の間でも和らぎ、日頃の疲れを癒していただけることを願いながら、聖母マリアに捧げる聖歌とジブリ映画の主題歌を心を込めて歌いました。最後に会場の皆様とご一緒に「花は咲く」を合唱したときには、涙される方々もおられ、この企画を実現されたスタッフの方々に改めて感謝の気持ちが湧きました。
工房地球村~GRA~山元町ふれあい産業祭で全学的ボランティア
2013年11月23日(土)、全学科学生に募集を呼びかけて集まった1年生から3年生まで有志60名は、山元町復興支援イベント「ふれあい産業祭」に参加しました。今回のボランティアは工房地球村の田口ひろみ所長のご厚意なしには実施できませんでした。地球村での日程は、人の気持ちを引き立てるのが巧みな田口所長の感動のストーリーでスタート。震災で背負った悲しみから立ち上がろうとする山元町の方々それぞれの“いちごものがたり”に魂を揺さぶられました。「復興」と一言でいうけれど、どのような思いで生きた人生の物語が背後にあるのかを伺い、私たち自身の物語も書き換えを迫られました。商品はもちろん、お店のレイアウト、家具、BGMにもこだわりのカフェ地球村には「心の復興」への本気が感じられます。ここが地域の心の拠り所として再生の底力を生んでいるのでしょう。GRA農業生産法人では短時間ながらトマト栽培のお手伝いをさせていただきました。インド女性のエンパワーメントにも貢献する勝部達也さんは「一つひとつのトマトをよく見て、注意を払い、“いつくしむ心”で育てます」とポツリ。「どれも同じトマト」ではなく、愛情を込めれば植物の個性差もわかるのか、これぞ教育の原点!と目からウロコでした。
全学的なボランティア活動は希望の曙光に~南三陸町の瓦礫撤去~
「震災後から手つかずの建物で凄まじい状況の中、白百合の学生たちはとても頑張ってくれた」。国際NGOカリタスジャパンが配信するネットニュースで、本学の学生たちによる南三陸町の瓦礫撤去ボランティア活動が紹介された。2012年2月23日(木)早朝、深々と降り積もる雪をものともせず、黙々と足早にスクールバスに向かう学生たち。学生課のバックアップのもと、前会長の意思を引き継ぎ、現学生会長の伊東加奈子さん(人間発達学科)による全学的呼びかけに応え、学科を超えて自ら名乗りを上げた学生約50名。往路約3時間の長距離、壊滅状態を残した沿岸部に近づくにつれ、祈りの思いも痛切になる。米川ベース責任者の説明をすぐに呑み込み、終始身をかがめるキツイ体勢を厭うこともなく、テキパキ、かつ丁寧に瓦礫の分別作業に専心する若者たちの姿には、心が震える。90分ごとに休憩タイムが告げられると「授業よりずっと短いね」という声が聞こえた。津波が押し寄せてきたのであろう15:25で針を止めた壁時計、子供の衣類、食器や写真等、確かにそこに居た人々の日常が垣間見える物品を回収するたびに、言いようのない思いが走る。心身に経験のない疲労感を覚えた復路、復興への気の遠くなるような道のりのなかで、それでも大海の一滴にも似た途方もない奉仕の業に、純粋に健気に身を投じるこのような若者たちに、絶望から立ち上がろうとする被災地の希望の曙光を見た気がした。
研究成果の公開
出版物
カトリック研究所の本が出版されました
カトリック研究所主催公開講座・研究会の講演録は、書籍『いのちと霊性―キリスト教講演集―』(教友社、全472頁)に収録し、2023年2月に出版いたしました。
(目次)
第Ⅰ部 生と死を見つめて:いのちへのまなざし▷幸田和生/「生命」へのアプローチと、「いのち」へのアプローチ▷佐竹正延/ 最期まで自分らしく生きるために▷清水哲郎/ 現代人の死生観とスピリチュアリティ▷島薗進
第Ⅱ部 限界状況に生きる人間:大災害と人間の生きる意味▷岩田靖夫/限界づけられた生を受け継ぐ▷竹之内裕文/『夜と霧』に学ぶ〈生きる意味〉▷加藤美紀/フクシマの痛みの中で▷川上直哉/なぜ神は助けないのか▷西平直
第Ⅲ部 現代世界に息づくキリスト教霊性:心に到来する他者▷田中智志/シャルトル大聖堂のラビリンス▷リチャード・ガードナー/途上国の開発と環境▷ジョン・ジョセフ・プテンカラム/わが国における大学改革とカトリック大学の役割▷髙祖敏明/現代の忘れもの▷渡辺和子
加藤美紀先生が「日本カトリック教育学会賞」を受賞されました
2021年8月28日、加藤美紀先生(カトリック研究所所長)が、日本カトリック教育学会において「学会賞」を受賞されました。この学会賞は、加藤美紀先生の著書『〈生きる意味〉の教育―スピリチュアリティを育むカトリック学校―』(教友社、2020年刊行)に対して、同書がカトリック教育学研究の発展に大きく貢献する研究として学会から評価されたことにより授与されました。
加藤美紀先生が「研究奨励賞」(日本カトリック大学連盟)を受賞されました
2018年6月、加藤美紀先生(カトリック研究所所長)が、日本カトリック大学連盟において2018年度カトリック学術奨励金「研究奨励賞」を受賞されました。この賞は、加藤先生がキリスト教ヒューマニズムにかかわる学術研究に優れた成果を収め、その研究が同領域の向上発展に寄与するものであると認められたことにより贈呈されました。
加藤美紀先生の記事がカトリック雑誌に掲載されました
- 人間の愛、神の愛―「たましい」と「しるし」―
『家庭の友』サンパウロ (3月号) 8-10 2023年2月 - 闇が光に変わるとき
『カトリック生活』ドン・ボスコ社 (1月号) 2-5 2022年12月 - 大人向けリレー福音解説(2022年~連載中)
週刊『こじか』オリエンス宗教研究所 2022年4月 ~現在 - よりどころに立ち帰る
『聖書に親しむ』カトリック中央協議会 2021年10月 - 「待降節」と掛けて「再生」と解く その心は「ルルドの泉」
『カトリック生活』ドン・ボスコ社 (12月号) 4-6 2020年11月 - 連載エッセイ「アンジェラスの鐘」22回連載(第74巻第1号~第75巻第11号)
『福音宣教』オリエンス宗教研究所 2020年1月 ~2021年12月
*この2年間の連載は『アンジェラスの鐘―希望への招き』2022年に書籍化されました。 - 召命の扉は新たに開く―世界召命祈願の日―
『聖書と典礼』オリエンス宗教研究所 2019年5月12日 - 神からのコーリング(召命)のしるし
『福音宣教』オリエンス宗教研究所 73(4) 34-40 2019年4月
メディア報道
メディア報道
加藤一二三先生(本学客員教授・文化功労者)の講演会が新聞に掲載されました
- 『河北新報』2022年12月1日朝刊(特別講演会「幸福の一手」)
- 『カトリック新聞』2019年10月27日(特別講演会「歴代ローマ教皇と私」)
川上直哉先生の記事が新聞に掲載されました(東北キリシタン関連)
- 『高知新聞』2022年10月21日
- 『朝日新聞』2022年10月17日
- 『中外日報』2022年10月5日
- 『文化時報』2022年9月30日
- 『岩手日報』2022年9月18日
- 『岩手日日』2022年9月18日
- 『カトリック新聞』2019年7月14日
- 『クリスチャン新聞』2019年8月11日
高橋陽子先生の記事が新聞に掲載されました(東北キリシタン関連)
- 『朝日新聞』宮城県版2022年10月21日「みちのくワイドのキリシタン殉教」
- 『朝日新聞』岩手県版2022年10月17日「みちのくワイドのキリシタン殉教」
- 『河北新報』2022年9月6日朝刊「大籠殉教公園25年記念」
- 『石巻日日新聞』2022年11月9日「桃生町の郷土の歴史を学ぶ会」
- 『河北新報』2019年2月7日朝刊
- 『読売新聞』2019年1月27日朝刊
- 『河北新報』2018年12月20日夕刊・12月21日朝刊
東北キリシタン研究がテレビ番組で紹介されました
- 2022年10月5日(水)tbc東北放送「『南無阿弥陀仏、アーメン寺』が“隠れキリシタン”を追悼?伊達政宗との意外な関係とは」
出演者:川上直哉 - 2020年1月17日(金) NHK仙台放送局製作「ものほん ウワサの東北見聞録」
出演者:加藤一二三、サンドイッチマン 高橋陽子先生の東北キリシタン研究が紹介されました。
加藤美紀先生が取材された新聞記事、テレビ番組
- 「『ひふみん』の言葉に支えられて…次女が語る父、加藤一二三・九段の素顔」『産経新聞』「令和人国記」 2023年1月28日朝刊
- 「まちかどエッセー」8回連載『河北新報』2022年3月28日~7月4日夕刊
- 「宮城の大学ゼミナール探訪」『河北新報』 2021年8月31日朝刊
- ノートルダム大聖堂再建のための募金活動『カトリック新聞』 第4508号 2019年11月24日
- 「きっと再建できる/復旧祈りたい 日本文化人らエール」『産経新聞』2019年4月17日朝刊
- 「日本から仏へ 復興祈る」『日本経済新聞』 2019年4月17日夕刊
- 「ノートルダム大聖堂再建への祈り」KHB東日本放送「チャージ!」 2019年4月17日
- 「ノートルダム大聖堂火災 その時、加藤美紀さんは」NHK仙台放送局「てれまさむね」 2019年4月16日
- 「故岩田靖夫氏の『文庫』開設 仙台白百合女子大学」『河北新報』2017年4月16日朝刊