公開講座(講師・川本隆史氏)を開催しました!

 「正義・ケア・愛―カトリック社会倫理を編み直す」というテーマで、東京大学名誉教授・川本隆史氏を講師に迎えた公開講座が、7月13日(土)午後に開催され、盛況のうちに終了しました。

 現代倫理学のジョン・ロールズの『正義論』(A Theory of Justice)を改訳された経緯を含め、川本先生のこれまでの歩みに沿いながら、正義・ケア・愛の各テーマをカトリック社会倫理の「編みなおし」として説いて下さいました。

 他大学や本学の学生を含めた熱心な聴講者の期待に、十分に応える内容でした。終了後のアンケートには聴講者のほぼ全員が回答してくださいました。その一部をご紹介します。

  • たまたま大学のポスターで見つけたのですが、来てよかったです。キリスト教徒ではないため、詳しいキリスト教についての知識はなかったのですが、興味深く拝聴させて頂きました。ありがとうございました。
  • とてもかたくなく面白いもの。難解ではなく易しく分かりやすかった。色んな話を聞けて良かった。
  • 不正義への抵抗を考えることの必要を感じました。
  • なかなか耳にすることのない講演、堅苦しいのでは…と思っていましたが、興味を深めることができてよかったです。もっとお聞きしたかったです。学生さんたちの質問もよかったです。
  • 愛が「人をその人として大切にすること」と訳せることを知れて、とても意義深かった。
  • 今、自分に必要な話を聞けました。ありがとうございました。
  • 川本先生のお話はとても正義・ケア・愛について考え直すきっかけを与えてもらい、とても感謝しています。
  • 現代哲学とキリスト教は双極にあるものだと思っていましたが、ロールズの「正義論」で説かれている「公正」とキリスト教の教えにある「私の中のいちばん小さな人」という部分において関係を感じることができました。
  • 言葉を通じて、より深いカトリックの真理を掘り下げることができました。有難うございます(たくさんの本の紹介もありがたかったです)。

 講演会終了の翌日に飛び込んできた、トランプ銃撃事件のニュース。世界の民主主義を牽引してきたといわれたアメリカ社会の分裂と対立は、世界中の分裂と対立にまで発展し、偏った正義が称揚されそうな気配を感じさせます。

 そうした現代の状況のなかで、今回の川本先生の公開講座に触発されて思いますのは、小さくされた人々が優先される社会に変わらなければ人間に未来は無いように思えます。

 本学では引き続き、これからも、現代のさまざまな問題をとりあげ、学外のさまざまな分野の研究者を講師としてお迎えして公開講座を開催いたします。

 これからもぜひご期待いただきたく存じます。